
近年の就活生は、SNSとしてTikTokに慣れ親しんだ世代だといえます。そのため、採用活動にTikTokを導入する企業も増えています。しかし、TikTokが採用活動に有効かどうか疑問に感じられている、採用担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、TikTokが本当に採用活動に有効かどうか、採用活動に活用するメリット・デメリット、成功させるためのポイント、採用活動にTikTokを活用するための手順、実際に採用活動に活用した企業の事例を紹介します。
現在、TikTokを採用活動に活用しようと考えられている方には、役立つ情報ばかりですので、ぜひ最後までお読みください。

【結論】TikTokを活用した採用活動は有効な対策
結論から言うと、これからの採用活動において、TikTokを活用することは有効な対策といえます。
今後、ますます少子高齢化が進み、就職を希望する学生の絶対数が減ってきます。そのため、就活市場は売り手市場が続くと予想され、ますます各企業は新入社員の確保が難しくなってくるでしょう。
これから就職を希望する学生の世代は、いわゆる「Z世代」が主流となってきます。「Z世代」の特徴の一つとして、TikTokの利用率が高いことが挙げられます。モバイル社会研究所による『モバイル社会白書Web版2023年版』によると、10代のTikTok利用率は約42%であり、他の年代に比べて特に高いです。
そのため、Z世代にとっては、TikTokはなじみ深いSNSといえます。また、動画の視聴時間も増えていることからも、Z世代の採用にあたってはTikTokは有効な手段といえ、採用企業側にもメリットがあるでしょう。
採用活動にTikTokを活用するメリット
次に、採用活動にTikTokを活用することによる、企業側のメリットを5つ紹介します。
・企業や社員の雰囲気がポジティブに伝わる
・採用コストを低く抑えられる
・他社との差別化が図れる
・動画制作が簡単
・拡散力が高い
それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。
企業や社員の雰囲気がポジティブに伝わる
社員によるおもしろい動画をTikTokに投稿することで、その企業や社員の楽しそうな雰囲気が、ダイレクトに就活生に伝わります。
その結果、自社の職場環境や社員の様子をポジティブに伝えることができ、就活生にプラスのイメージを与えられ、自社に好感を持つ就活生が増えるといった効果が期待できます。
採用コストを低く抑えられる
企業が一般的な採用活動をするにあたっては、人件費や求人広告の掲載費、人材紹介会社に支払う費用や会社説明会を行う会場のレンタル費用など、多くの費用が必要です。
一方、採用活動にTikTokを活用した場合には、採用コストを低く抑えることが可能です。TikTokは基本的に無料で利用できるアプリであり、動画投稿にあたっても費用は発生しません。
また、TikTokに自社の広告を掲載する場合でも、比較的低コストで掲載が可能です。そのため、一般的な採用方法に比べて低コストで採用活動が実現できる可能性があります。
他社との差別化が図れる
日本でTikTokのサービスが開始されたのは、2017年からです。そのため、まだまだ日が浅いSNSプラットフォームです。
そのため、TikTokを採用活動に本格的に活用している企業がまだ少なく、他社との差別化が図れ目立ちやすいというメリットがあります。その結果、就活生に対する訴求力が高くなるといえるでしょう。
動画制作が簡単
TikTokは、動画制作・投稿がスマホだけでもできます。また、TikTokの標準アプリ機能で、音楽やエフェクトを付けることも可能であり、簡単に動画制作ができます。
本格的な動画を制作する場合には、ビデオカメラや動画編集ソフトなどの機材が必要となりますが、あまり凝った動画を制作するのでなければ、非常に簡単かつ低コストに動画制作ができるという点がメリットです。
拡散力が高い
TikTokの特徴の一つに「拡散力が高い」という点があります。投稿した動画の視聴完了率・いいね・シェア・コメントの数が多く、高評価を得ることができれば、驚異的な拡散につながることもあります。
短期間で多くの視聴者に投稿した動画が拡散されることにより、企業の採用部門としては特に他の施策を打たなくても、投稿動画を視聴してくれる人が増えるため、宣伝効果が魅力的といえるでしょう。
採用活動にTikTokを活用するデメリット
次に、採用活動にTikTokを活用するデメリットを3つ紹介します。
・炎上する可能性がある
・採用活動に効果が出るまで時間がかかる
・長期的に運用する必要がある
それぞれのデメリットについて、詳しく解説しましょう。
炎上する可能性がある
TikTokには拡散されやすいという特性があるため、炎上のリスクも高くなってしまうデメリットがあります。
動画内容によっては、視聴者から肯定的な意見ばかりではなく、否定的な意見も拡散されてしまう懸念があります。
また、コメント欄が荒れてしまい、視聴者からするとマイナスイメージを持たれてしまうリスクもあるでしょう。
採用活動に効果が出るまで時間がかかる
TikTokは、ショート動画を楽しむためのSNSです。そのため、じっくり視聴されるというよりも、何かの片手間で視聴されるケースが多いといえます。
また、いわゆる「バズる」ことができていない動画の場合には、拡散もされにくいため、ターゲットとなる就活生に認知されるまで、多くの時間がかかってしまう可能性があります。
長期的に運用する必要がある
採用活動のターゲットとなる就活生たちに認知されるためには、単発投稿ではなく長期的に継続して投稿を行っていくことが必要です。
また、投稿した動画がバスらなく拡散されにくいときには、その都度拡散されなかった原因の分析・対策検討・改善実施を繰り返し、長期的な視点で取り組まなければなりません。

TikTokを活用した採用活動を成功させるためのポイント
次に、TikTokを活用した採用活動を、成功に導くための4つのポイントを紹介します。
・世間の流行を取り入れる
・企業のイメージとギャップのある動画を制作する
・動画制作のときに多くの社員に参加してもらう
・採用活動に関係があるキーワードをハッシュタグに入れる
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
世間の流行を取り入れる
TikTokでは、その時期によってバズるトレンドがあります。例えば、今人気のある音源やダンスを取り入れているとバズりやすくなります。
そのため、動画を制作するときには、現在の流行を取り入れていくと、バズりやすくなるため、拡散力が高まることが期待できるでしょう。
企業のイメージとギャップのある動画を制作する
企業イメージが「硬い」と思われている企業が、あえて社員全員で流行りのダンスをするなど、企業イメージとギャップがある動画を制作・投稿すると、意外性が受けて注目が集まりやすいといわれています。
就活生と採用企業の最初の接点になることが多いTikTokでは、まずターゲットである就活生から注目を集めることが重要となります。そのため、このようにギャップのある動画を制作・投稿することは、採用活動において有効的といえるでしょう。
動画制作のときに多くの社員に参加してもらう
採用企業の多くの社員が動画に参加し、パフォーマンスを行うことによって、就活生には「楽しそうな職場である」「人間関係が良さそう」といった、プラスのイメージを与えることができます。
その結果、その企業に対して好印象を抱くため、自社に興味を持つ就活生が増えるといったメリットが期待できるでしょう。
採用活動に関係があるキーワードをハッシュタグに入れる
投稿した動画に対して、採用活動をイメージするようなキーワードを、ハッシュタグに付けることによって、就活生にアクセスされやすいといった効果があります。
採用活動をイメージさせるハッシュタグとしては、以下のようなキーワードを用いると良いでしょう。
・会社
・会社紹介
・採用
・転職
なお、ハッシュタグを付ける際には、1点注意すべきポイントがあります。それは、ハッシュタグを付けすぎないことです。ハッシュタグを付けすぎてしまうと、その動画が訴求したいターゲットがぼやけてしまい、かえってターゲットである就活生に視聴されることが減ってしまうというリスクがあるためです。
TikTokを採用活動に取り入れた方が良い企業
すべての企業が、採用活動にTikTokを活用すればよいわけではありません。ここでは、TikTokを採用活動に取り入れた方が良い企業を解説します。それは以下の2つの特徴をもつ企業です。
・創造的な動画を制作できる
・短期間で視聴者に大きなインパクトを残したい
それぞれの特徴について、さらに詳しくみていきましょう。
創造的な動画を制作できる
Z世代に該当する就活生は、動画を短時間で消費することに慣れ親しんでいます。そのため、従来のように長文の求人広告よりも、TikTokのようなショート動画を通じた採用活動を行う方が効果的といえます。
創造的なショート動画コンテンツの制作が得意な企業は、TikTokを採用活動に活用するメリットは大きいといえるでしょう。
短期間で視聴者に大きなインパクトを残したい
TikTokは、情報が伝わる速度が速いといった特性を持つSNSプラットフォームです。そのため、投稿した動画がバズることによって、短期間のうちに多くの就活生に拡散され、視聴される可能性があります。
そのような特性から、短期間でインパクトを与えたいキャンペーンや、イベントなどの情報を発信したい場合には、有効なSNSプラットフォームといえるでしょう。
TikTokが採用活動に向かない企業
一方、TikTokが採用活動に向かない企業もあります。代表的な企業は、以下の2点に当てはまる企業です。
・フォーマルな業界・企業
・長期的なブランディングを求めている企業
それぞれの特徴を、さらに詳しく解説します。
フォーマルな業界・企業
金融や法律といったビジネスを展開している業界・企業では、事業の特性上フォーマルな雰囲気を就活生に訴求したいというニーズがあります。
一方、TikTokはカジュアルなイメージを持つSNSプラットフォームであるため、金融や法律を事業としている企業には向かないといえるでしょう。
長期的なブランディングを求めている企業
TikTokは、短期間に情報を拡散することに向いているSNSプラットフォームですが、長期間に渡る拡散には向いていないといえます。
そのため、自社のブランディングを長期間かけて育成したい企業には、TikTokを活用した採用活動には向いていないといえるでしょう。
TikTokで採用活動を行う手順
ここでは、実際にTikTokを採用活動に活用するための手順について紹介します。手順としては、以下の3ステップとなります。
・ターゲットとなるユーザーの特定・分析
・魅力的な動画の制作
・TikTokを活用した効果の分析、改善
それぞれのステップの詳細について、解説しましょう。
ターゲットとなるユーザーの特定・分析
最初に手がけるべきことは、ターゲットとなるユーザーを特定し、分析することです。採用活動にTikTokを活用するにあたっては、ターゲットは就活生となります。
次に、ターゲットの趣味・価値観などを深く分析・理解し、ターゲットが興味を持ちそうな企業像や、採用企業に興味を持ってもらうために何を求めているかを把握します。
ターゲットのニーズ分析・把握ができた後で、適切な採用活動方針を定めましょう。
魅力的な動画制作
採用活動方針が決定した後に、ターゲットとなる就活生を惹きつけるような動画を検討・制作していきます。就活生のニーズに合わないような動画を制作・投稿しても、就活生には刺さらず採用活動に良い影響は与えないでしょう。
TikTokを活用した結果の分析・改善
TikTokには、動画再生回数・いいねの数・コメント数といった情報を取得できる機能があります。これらのデータを収集し分析することで、投稿した動画の効果を定量的に測定できます。
この測定結果を分析することで、さらに就活生に刺さるための改善ポイントを整理し、動画の内容や撮影方法などを繰り返し改善することが必要です。
TikTokを採用活動に活用した企業の事例
次に、実際に採用活動にTikTokを活用した企業の事例を紹介します。今回紹介する企業は、以下の4社です。
・ダイキン工業
・ANA
・資生堂
・トヨタ自動車
各企業の具体的な事例を紹介します。
ダイキン工業
採用担当者が、音楽に合わせて企業紹介する動画を制作しました。さらに、投稿した動画のハッシュタグに採用に関わるキーワードを付けることで、ターゲットとなる就活生に訴求するといった手法を実施しています。
ANA
空港で働いているさまざまな職種の社員が登場し、ダンスをしたり職場紹介をしたりする動画を制作・投稿しました。また、その他にも自社で保有している航空機を紹介する動画も制作し、採用活動に活用しています。
資生堂
資生堂では、自社の若手社員が出演し、若者に人気のあるコスメやメイクアップ技術を紹介する動画を制作しました。自社の社員が出演していることから、職場のリアルな環境がわかるような内容となっていました。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、日本国内はもちろんのこと海外にも拠点があり、それぞれ採用活動が行われています。海外拠点で実際に働いている社員の日常を、各国の文化に合わせて紹介する動画を制作し、働きやすさや企業文化を紹介しました。
採用活動にTikTokを活用しようとされる方はクラプロへご相談ください
本記事では、TikTokを採用活動に活用することについて、紹介してきました。具体的には、TikTokを活用することによるメリット・デメリット、採用活動を成功させるためのポイント。
採用活動に活用するにあたってのプロセス、実際にTikTokを活用した企業の事例を紹介してきました。
採用活動にTikTokの活用を検討されている、企業の採用担当者の方はぜひ本記事を参考にし、TikTokの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
